ハトメ閂止め
誰も見ない場所に、テーラリングのDNAを。
FAGASSENTのパンツでは、フロントのボタンホールに「ハトメ閂止め」という仕様を採用しています。形を見ると分かりやすいのですが、ボタンホールの端をコの字状に縫製する仕立てです。
僕の認識では、こうした仕様はビスポークテイラーでもよく見られるもので、ジャケットのカフスなどにも使われます。
一方で、V字状に縫う「流れハトメ」という方法もあります。
流れハトメは、一連の作業として縫いやすい。
だから、生産効率という意味では合理的です。
それでもFAGASSENTでは、すべてのパンツでハトメ閂止めを選んでいます。
正直、穿いてしまえばほとんど見えません。
ボタンを留めれば隠れてしまう場所です。
では、なぜそこまでやるのか。
僕は、誰かが見つけてくれるかどうかだけを基準にして服を作りたくないんです。
もしかしたら、そのディテールに一生気づかない人もいるかもしれない。
それでも、自分たちはものづくりの最前線にいる。
そう考えた時に、「どうせ見えないから、これでいい」という判断はしたくない。
僕がロンドンで学んだメンズウェアやテーラリングの感覚も、こういう小さな場所に自然と残っています。
デニムというカジュアルな服の中に、テーラリングの仕立てを忍ばせる。
ロックやダメージの激しい表現の中にも、どこか端正さを残す。
僕にとってFAGASSENTのエレガンスは、表面に高級なものを足すことだけではありません。
誰にも見えない場所まで、どこで止めるかを自分たちで決める。
そういう積み重ねから生まれるものだと思っています。

